皇室典範特例法の規定に基づき、日本では202年ぶりとなる今上天皇の譲位(4月30日)と皇太子徳仁親王の即位(5月1日)が予定されており、この皇位の継承を受けて、元号法の規定に基づき、5月1日に元号が「平成」から「令和」に改められ、日本の憲政史上初めて、天皇の生前退位による皇位の継承に伴って改元が行われます。
「令和」は、『万葉集』の巻五、梅花(うめのはな)の歌三十二首の序文(「梅花の歌三十二首并せて序」)であり、確認される限りにおいて初めて漢籍ではなく日本の古典(国書)から選定されました。 2019年は、4月30日までが平成31年、5月1日から令和元年になる予定で、2つの元号に跨る年となります。
2019年(平成31年)4月1日、総理大臣官邸にて「元号に関する懇談会」が9時30分から開催されました。
氏名 | 所属 |
---|---|
上田良一 | 日本放送協会会長 |
大久保好男 | 日本テレビ放送網代表取締役社長 |
鎌田薫 | 早稲田大学代16代学長 |
榊原定征 | 東レ相談役 |
白石興二郎 | 読売新聞グループ本社会長 |
寺田逸郎 | 法曹 |
林真理子 | 小説家 |
宮崎緑 | 千葉商科大学国際教養学部教授 |
山中伸弥 | 京都大学iPS細胞研究所所長 |
元号「令和」の出典は、日本の歌集である『万葉集』巻五の「梅花の歌三十二首 序文」にある以下の文章で、「梅花の宴」として知られている場面の一部である。
2019年4月1日、発表された新元号の「令和」は、『萬葉集』梅花歌三十二首の題詞「初春令月 氣淑風和」が出典。「題詞」とは、『万葉集』において歌の前に付される作者による公式解説・序文です。
- 白文:于時初春令月氣淑風和梅披鏡前之粉蘭薫珮後之香
- 書き下し文:時、初春の令月にして、氣淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。
- 現代語訳:時あたかも新春の好き月(よきつき)、空気は美しく風はやわらかに、梅は美女の鏡の前に装う白粉(おしろい)のごとく白く咲き、蘭は身を飾った香の如きかおりをただよわせている。
「令和」の考案者と見られている万葉集研究者の中西進氏によれば、「「梅花の宴」の序文は、蘭亭序の形式と同じ」「中国では唐の初めに漢詩に序をつけることが流行する。この傾向は万葉集の中にも入り込み、独特な表現様式を持つことになった」「唐風にならい、仏教を受容しつつ国家的整備を進めた時代精神が支えた」と指摘している。
平成31年4月1日
内閣総理大臣談話
新しい元号「令和」について
本日、元号を改める政令を閣議決定いたしました。
新しい元号は「令和(れいわ)であります。
これは万葉集にある「初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして 気淑(きよ)く風和(かぜやわら)ぎ 梅(うめ)は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き 蘭(らん)は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かおら)す」との文言から引用したものであります。そして、この「令和」には、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ、という意味が込められております。
万葉集は、千二百年余り前に編纂された日本最古の歌集であるとともに、天皇や皇族、貴族だけでなく、防人や農民まで、幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められ、我が国の豊かな国民文化と長い伝統を象徴する国書であります。
悠久の歴史と薫り高き文化、四季折々の美しい自然。こうした日本の国柄を、しっかりと次の時代へと引き継いでいく。厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人ひとりの日本人が、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本人でありたい、との願いを込め、「令和」に決定いたしました。
文化を育み、自然の美しさを愛出ることが出来る平和の日々に、心からの感謝の念を抱きながら、希望に満ち溢れた新しい時代を、国民の皆様と共に切り拓いていく。新元号の決定にあたり、その決意を新にしております。
五月一日に皇太子殿下が御即位され、その日以降、この新しい元号が用いられることとなりますが、国民各位の御理解と御協力を賜りますようお願いいたします。政府としても、ほぼ二百年ぶりとなる、歴史的な皇位の継承が恙なく行われ、国民こぞって寿ぐことができるよう、その準備に万全を期してまいります。
元号は、皇室の長い伝統と、国家の安泰と国民の幸福への深い願いとともに、千四百年近くにわたる我が国の歴史を紡いできました。日本人の心情に溶け込み、日本国民の精神的な一体感を支えるものともなっています。この新しい元号も、広く国民に受け入れられ、日本人の生活の中に深く根ざしていくことを心から願っております。
普段はなかなか読むことのない「万葉集」もこれを機会に読んでみるのも良いと思います。いくつか候補を選択しましたので、そのような気持ちになられた方は是非読んでみてください。
万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
万葉の秀歌 (ちくま学芸文庫) 中西 進 著
新版 万葉集 一 ・二現代語訳付き (角川ソフィア文庫) 伊藤 博 著
万葉集(一)・(二) (岩波文庫)
左側のコンテンツ50%
右側のコンテンツ50%
万葉集全訳注原文付(一)(二)(三)(四)(講談社文庫) 中西進 著
新版 万葉集 一 ・二 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)
万葉集 全訳注原文付 全4冊合本版(中西 進 編集)
万葉集事典 (講談社文庫) 中西 進 編集
中西進と歩く万葉の大和路 (ウェッジ選書)
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