ANAのシドニー線ボーイング787-9に搭乗しましたが、

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1 長引くANA運航便の欠航について

ANAは、安全を最優先としてボーイング787型機のエンジンの点検整備を進めてきたが、未だこの問題の解消には至らず、8月以降も一部の国内線および国際線を欠航とすることとし、国際線の一部では、国内線機材での運航となる場合もあるとしています。

私も今回利用したシドニー行きもボーイング787-9型機でしたが、何事もなく無事に快適な旅行をすることができました。

場合によっては旅行プランの変更や取りやめ、仮に欠航しなくとも機材変更による座席の変更が余儀なくされるなどのデメリットが生じる恐れがあります。そういった意味では最高にラッキーだったのかもしれません。

シドニー国際空港に到着

FAA(米国連邦航空局)とEASA(欧州航空安全局)は、ロールス・ロイス製エンジン「トレント1000」を搭載したボーイング787-8型機と787-9型機について、運航条件に一定の制限を設ける耐空性改善命令(AD)を出しました。

長時間運航した際、エンジンの劣化が進む可能性があるとして、エンジンが1基停止しても洋上飛行が一定時間可能な「ETOPS(イートップス)」で許容する飛行時間を、最大140分(2時間20分)に制限しました。

この問題は中圧タービンブレードと呼ばれる部位についてのものです。普通に飛んでいる分にはいいんですが、一発のエンジンが停止した時が問題のようです。

飛行機は片発が停止しても問題なく飛行できるように設計されていますが、仮に片発が停止すると、もう片発の推力を上げないと飛べません。その継続時間を制限するのがADです。

ADによると、中圧コンプレッサー(IPC)のローターブレードに亀裂が生じることで、飛行中にブレードが飛び散り、機体の操縦性を低下させる可能性があるというのです。

2基あるエンジンのうち、一方が停止して1基のみで飛行する時間を制限するのは、高推力状態で長時間飛行した際にブレードが破断し、残り1基も損傷して飛行できなくなることを防ぐためのものです。

ロールスロイス公式ホームページ

ロールスロイス公式ホームページ

最近の飛行機にはETOPSで、片発が停止した場合に飛行を継続できる時間が定められています。787のETOPSは最大で330分ですが、Trent1000の問題を受け、FAAのADでは片発停止時の高推力の運転は140分に制限することを要求しています。

つまり「片発停止時に140分以上飛行すると、もしかしたらもう片方のエンジンも壊れてしまう恐れがある」という問題なのです。

ロールスロイス公式ホームページ

ロールスロイス公式ホームページ

FAAのADでは、Trent1000エンジンに直ちに安全性に問題があるというわけではなく、片発飛行時に2時間以上飛行したら危ないかも知れない、というレベルだということではないでしょうか。

国土交通省航空局(JCAB)もこれに基づき、耐空性改善通報(TCD)を発行し、国内の航空会社に対策を指示しました。国内でトレント1000を選定した航空会社は、全日本空輸(ANA/NH)のみで、日本航空(JAL/JL、9201)はGE製GEnx-1Bを選定しており、対象外です。

全日空(ANA)は2018年7月26日(木)、29機目となる787-9を受領しました。ANAの787は65機となり、このうち787-8が36機、787-9が29機です。

ANAはすでに発注済みの787のうち、787-8は36機の導入を終えていますが、787-9は44機を発注しており残機数は15機、さらに787-10を3機発注しており、787全体では残り18機となっています。

ANAによると、現在保有している機体のうち31機が対象となるエンジンを装着する可能性があるという。いずれにしても早く解決して欲しい問題だと思います。

 

2 航空機エンジンメーカーの現状

日本経済新聞によると、アジアを中心とした旅客需要の拡大を背景に航空機エンジン市場は拡大が続いてるという。

世界の航空機エンジンメーカーの売上高シェアを見ると、トップは米国GEを筆頭に、同じくP&W、そして英国のロールスロイスが続く、この三大メーカーで6割以上のシェアを占めている。

一方、日本はIHI、三菱重工、川崎重工であるが、これまで三大メーカーの下請け的な存在であったが、現在は国際共同開発が主流の中で、日本のこれらの企業は存在感を高めてきています。

特に三菱重工は戦後日本が独自の旅客機を開発するのは、YS-11以来の40年ぶりのことで、日本初のジョット旅客機となる「MRJ」は紆余曲折ありましたが、ファンボロー航空ショーでフライトディスプレイを成功したところであり、これで航空機分野に弾みがつくと思います。

また、IHIも航空自衛隊の次期戦闘機への採用を想定した最先端エンジン「XF9-1」の試作品を開発して防衛装備庁に納入するという。

3 航空業界での懸念材料

米国ボーイングの中型ジェット旅客機旅客機「787」に搭載するロールスロイス製エンジン「トレント1000」の回転翼などの部品の耐久性問題です。これがまさしくANAの欠航問題となっているのです。

ロールスロイスによると、改善対象のエンジンは世界で約600機に達するそうで、全世界で起きていることから、ANAは機材繰りが回らなくなり欠航が長引く原因となっているそうです。

ロールスロイスは、トレント1000に関連する費用は2020年までの3年間で約1800億円に達する見込みを明らかにしている。

だが同社の12兆円規模の航空機エンジンの受注残を抱えており、このような状況からトレント1000の問題はロールスロイス側からすれば、影響は限定的なものでしかないのかもしれません。

いずれにしても極めて高い安全性が求められ、そのため投資も巨額になることから、航空エンジンはハイリスク・ハイリターンな事業であることには変わりなく、人気があるが故に、一度改善すべき箇所が見つかると世界規模でその修正に動くことになり、我々旅行者の大きなリスク要因になります。

特に海外旅行は相当前から予約を入れるので、航空業界の様々な情報を絶えず気にしておくことを心がけなければならないと思います。

シドニー国際空港に到着

4 私にとってのANAとボーイング

若い時に、短期間の外国研修があり、研修テーマは自由でしたので、以前から興味のあった「航空機産業や空港を利用した都市開発など」をテーマに米国に出張する機会がありました。

航空機の行程は新千歳空港⇒成田空港⇒サンフランシスコ空港(乗り換え)⇒ダラスフォートワース空港⇒デンバー空港⇒シアトルタコマ空港⇒ロサンゼルス空港⇒成田空港⇒新千歳空港で、米国内は全てユナイテッド航空でした。

この研修の記録は紙で、しかも写真はファイルデータではなくフイルムのネガなので、記憶を呼び起こしながらいつかその概要を投稿したいと思っていますが、今回はシアトルのボーイングの「エベレット工場」に行った時のことです。

この時は見学ツアーでなく、ANAを通じてエベレット工場内にいるANAの日本人現地駐在員を紹介していただき、あの世界最大の工場内をガイドさんとカートに同乗させてもらい、地べたから真近にある機体を眺めることができたのは圧巻でした。

ここは機体の組み立て工場ですので、何機もの機体が翼を広げた状態で並行して作られているのは、多分、世界の中でもここでしか見れないと思います。

この時の衝撃が強烈で、民間ジェット機の航空機産業といえば、ボーイングとエアバスですが、2年後にフランスのツゥールーズにあるエアバスの工場を見学ツアーを気合で行ってしまいました。

エアバスは欧州連合の4か国で構成される「航空宇宙機器開発製造会社」であるので、もろ軍事施設の見学という感じで、エベレット工場とは雰囲気が全然違いました。

いずれにしろANAとボーイングの関係が長く続くことを期待しています。

ボーイング公式ホームページ

5 ボーイング787の最新情報

〇 2018年8月10日(金)

北海道新聞によると、全日空は9日、ボーイング787に搭載しているロールスロイス製エンジンの不具合に伴う点検のため、9/1~10/27に国内累計593便を欠航とすると発表しました。北海道内は新千歳~関西の113便が対象で、このほか中部~福岡、中部~那覇、福岡~宮崎、那覇~石垣の4路線が欠航する。

全日空は同エンジンの点検に伴い、7月以降、順次欠航便を明らかにしてきたが、国内線は10月までの約4か月間、57日間で欠航便が発生する。また、国際線の欠航は9~10月で計212便となりました。

 

 

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