LCCに向かうJALと構えるANA

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1 JALのLCC参入記者会見

JAL

先日14日に、東京で開いたLCC参入の記者会見でJALの赤坂祐二社長が新たな格安航空会社(LCC)を設立すると発表した。成田空港を拠点に東京五輪・パラリンピックが開催される2020年に運航を始め、訪日外国人客の取り込みを狙う。

そこで強調したのは、市場開拓の余地が大きい日本発着のアジアや欧米などの中長距離LCC市場である。短距離LCCとは技術的に全く違う領域であり、長距離になると飛行機は大型化しないといけなく、いろいろなノウハウがないと安全に飛ばすのは難しいという。

また、フルサービスとLCCでは客を奪い合う心配はないのかとの質問に対し、長距離でフルサービスでないもので旅行する潜在的な需要がこれから出てくると思うとし、中長距離ではLCCは広がっていないので、遅れを取っているとは思っていないとも発言していた。

2 迎えるANAは

ANA

一方、ANAホールディングスの片野坂真哉社長は、ピーチ・アビエイションとバニラ・エアを統合して中距離路線でLCC事業を強化することとしており、すでにアジアのいくつかの空港からピーチに飛んできてほしいとのラブコールもあるという。

シンガポールとタイとか需要の強いところもあるが、一方でアンコールワットのシェムリアップやジャワ島などのリゾート、そのほか日本では有名でないがベトナムのニャチャンとか、いろいろなところに可能性があるとも語った。

2020年には50機以上に増やす計画で、18年3月期の売り上げ約750億円から倍の1,500億円、営業利益で150億円とみている。日本航空のLCCとの競争については、我々6年間のリードを詰められないように、ウサギとカメにならないように少し急いでいきたいとしていました。

両社がLCC戦略を強化するのは、日本を取り巻く航空需要は今後高まると予想されており、北米や欧州の年平均成長率が約2.3%に対し、アジア太平洋地域は倍の約4.6%とその潜在需要があるといわれている。

3 JALとANAHDのLCC戦略(2020年計画)

  J  A  L ANAHD
機体数 2機からスタート 約50機
距    離  中長距離  短中距離
業    績

 開始後3年で黒字化
将来的に営業利益率10%超

売上高 1,500億円 
営業利益 150億円
営業利益率 10%

JALは2010年の経営破綻後、17年春まで投資や路線開設が制限されてきた間、「ドル箱」とされる羽田空港の国際線発着枠は、ANAHDに多く配分され、JALの存在感は低下してきた。LCC参入をきっかけに持続的な成長の姿が見せられるかが課題となっています。

また、日本の空が本格的な大競争時代に入り、海外格安航空会社(LCC)の攻勢を受け、ANAHDとJALが支配する時代は終わりつつあるのではないかといわれています。

今回、JALが決断した背景には、中東勢やLCCによって世界の空の勢力図が塗り替わる危機感やLCCの代表格である北米のサウスウエスト航空などは売上高で日本勢を上回っている。

一方、LCCなどとの競争激化で赤字が続く仏欄エールフランスKLMは存続すら危ぶまれているという。

日本経済新聞によると、仏蘭エールフランスKLMの経営が視界不良に陥っていると。

同社は2004年に仏エールフランスとKLMオランダ航空が統合してできたが、足を引っ張っているのはエールフランスの方で、ストの影響で第1四半期は最終赤字幅が拡大し、中長期的な収益力も、高い人件費や格安航空会社(LCC)との競争で伸び悩んでいる。

しかもエールフランスKLM筆頭株主の仏政府に「エールフランスは消滅するかもしれない」と指摘されている。

4 LCCかフルサービスキャリアどちらを選択

ANAのSFC修行中の身としては、当然フルサービスキャリアを選択するのですが、中長距離にどんどんLCCができてきたら、今後、航空業界にどんな変化が生じるのでしょうか?

一般的には、出張や旅行で、フルサービスキャリア(FSC)とローコストキャリア(LCC)のどちらを選ぼうか迷うことはあると思います。

チケットの価格が異なるのはもちろんのこと、FSCとLCCの一番の違いは、サービスをとるのかコストをとるのかということだと思います。

FSCは、座席の種類が選べたり、機内食や飲み物が運賃に含まれていたり、乗客にさまざまなサービスを提供しています。一方、LCCは人件費の削減や運航の効率化、サービスの簡素化によって運賃を下げ、とにかく合理性を重視しているのです。

空港ラウンジ

チェックインカウンターや搭乗口の場所もFSCとLCCで大きく変わることがあります。

空港にもよりますが、やはりFSCの方が入り口に近いことが多いようですし、またLCCは、合理性を重視するうえでサービスを簡素化していますので、機内食やビデオやオーディオといった機内エンタメでは、FSCの方が断然いいと思います。

FSCとLCCはチケット価格が異なるだけでなく、さまざまな要素で違いがありますので、自分の旅の目的や、どんな時間を過ごしたいかでその選択は変わってくると思います。

私の場合は、札幌~東京間でしたらLCCでもいいですが、札幌~沖縄間でしたらFSCだと思います。腰には長時間狭い座席は辛いですし、4時間だと、食事や映画・ビデオは見たいです。

そう考えると、長距離LCCの需要予測はどうなんでしょうか?世代によって考え方や体力的な問題、更には価値観の違いに差があると思うので、予測も難しいと思います。JALの今回の選択が吉と出るのか凶と出るのか、期待と不安を持って注視していきたいと思います。

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